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駅メモだったり昭和の漫画とか東映時代劇だったり、イロイロ思う事色々

天を斬る

 去年の11月から東映時代劇YouTube配信していた

『天を斬る』

がとうとう最終回を迎えてしまい、私はとっても悲しい。

 

 私は時代劇が特定の作品に対してはロケ地散策する程度に好きである。

 その中でも

栗塚旭、島田順司、左右田一平の三人が出ている時代劇はもうそれだけで神時代劇』

 と思っていたので、前から

「小田部通麿めちゃくちゃ可愛いから見ろ」

と言われていた天を斬るは前から気になっていたのだ。しかしなかなか見る機会がなかったのが、燃えよ剣全話配信終了した後番組に天を斬るがやってきた。配信されてすぐ見た。

 江戸からやってきた元江戸講武所頭取の牟礼重蔵、京都東町奉行所与力の桜井四郎、京都西町奉行所与力の権田半兵衛の三人が公儀から

『以上三名の者は共に力を併せ、不逞不穏の振る舞いに及ぶ者を取り締まるべし、事非常火急の場合に及ぶ時は、各自の判断にて是を処理すべし、ただし今後塁の公儀に及ぶことを慮り、所司代奉行所の名を公に用いることを許さず』

との密命で京都の御用盗くずれの浪士(だいたいが討幕派)や市内または地方の悪徳代官等を取り締まり斬っていくが、公儀の名前を用いることができないという制限の中で三人が活躍していく話だ。

 

 最初の1話を見て完成度の高さに驚いた、栗塚島田左右田トリオというだけで面白さの約束はされていたが期待以上だった。それ以上に各回のゲストがどんどん伏線を回収して退場していく様が誰も幸せにならない!まさに不穏と不幸スパイラル!!!!!!そして毎週更新されていく不穏!オンステージ!!なんだこれ不幸アンハッピー選手権開催すんな、抒情的に終わらせたら許されると思うなよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!……を毎週毎週よくもまあこんなゴールデンタイム少し過ぎた時間に流していたかと思うと、

「大丈夫?リアタイしていた人メンタルやられない?ほんと誰一人幸せにならないとかマジ大丈夫???時代劇はご都合主義だから嫌い!!とかいう奴、ちょっと表でろ1話から天斬る見てからもう一度そのセリフ言って見ろ」

ってなるんだよなあこれ……。今放送したらめちゃくちゃウケるか炎上するかの二択しかない、中間がなくて笑ってしまうではないかこんなの。

 

 なのにめちゃくちゃ面白い。

 話がどれもこれも丁寧に伏線を引いてそれを一気に回収していく様は流石、結束信二脚本だなと唸らせる。そして誰も幸せにならない展開に渡辺岳夫のBGMと左右田一平のナレーションが重なる、この絶妙具合、俺は用心棒シリーズから踏襲しているようで全然違いがある。

 また天を斬るというタイトルが既に内容がタイトル回収というカッコよさ、本当全話全てが面白いし見ごたえしかない。なんでこんなに面白いのに2クールで終わってしまったのか。

 

 そら毎週毎週不幸のピタゴラスイッチ見せられたらメンタル持たねえですよ……でも見たらクセになるほど面白い、それが『天を斬る』だ。

 そして内容以上に惹かれるキャストの皆さんの演技もまた素晴らしい。

 

 栗塚氏演じる牟礼重蔵、先日まで全話配信していた燃えよ剣、据置で1話2話のみしか見れない俺は用心棒シリーズの栗塚氏だけを見ていたらクールでニヒルかつニコリともしないのを見ていたので、時折ニヤッとした笑いを見せる牟礼どのがひどくカッコよく思えた。笑顔は新選組血風録でもよく笑っていたがああいう笑顔ではない、あの土方さんの笑顔は若さからくる青さがあった爽やかな笑顔だ。

 牟礼どのは狂犬が時折見せる、でも嫌じゃない笑顔で何もかもカッコ良すぎるのだ。

 

 左右田氏演じる権田半兵衛、俺は用心棒と燃えよ剣を見ていれば「みんな同じじゃないですか」と言われそうなマイペースっぷりが天を斬るでも冴えてる……いや、それ以上のマイペースが過ぎる。すぎるからこそ上記作品と異なったいつでもどこでも漬物を探し勝手に店のものを食べていく権田さま、それでいて刀の間合いに完全に入っているのに素手で相手を倒していくある意味狂犬オブ狂気、多分この人を怒らせたら一番怖すぎる。隠密剣士の十期の演技まだ見返してない早く見返せよ。

 

 島田氏演じる桜井四郎、牟礼どのとは違った冷静かつ頭脳派。ガチガチの真面目で融通が利かず東町奉行所でも持て余していた感を1話から感じていたし何より万年生理二日目みてーな顔をしながらも意外と短気とか頭脳派で短気とか最高かよすぎる。

 しかも最初は三人で協力しろって言われているのに牟礼どのにも権田さまにも与しませんと言いながらも、だんだんこの二人と呼吸が合って物語中盤くらいで牟礼どのと背中合わせで戦う姿を見たときにはガチで感動したものだ、あのサクライさまが……ってなるこの演出がニクい。

 そして14話以降は1話の彼を知っていたらびっくりするほどにどんどん大胆になっていくのも面白い、そして沖田総司、捨て犬、田島次郎から桜井四郎、そこからあのニコニコ満載の沖田総司爆誕するのうそだろってなる、島田氏の演技のふり幅と殺陣の流麗さ、天を斬るの島田氏はもはや芸術品なのだ。

 

 そして忘れてはいけないのは香月凉二と小田部通麿と西田良三人の存在だ。

 この三人があの殺伐とした不穏スパイラスを打ち崩すかのようにコミカルかつ頼りなさそうで頼りになる、牟礼権田桜井トリオの対比にように出てくるおっさんトリオがマジでいいし三人の演技力の高さが「東映の大部屋俳優」のすごさを如実に物語っている。またこの三人も燃えよ剣で再出演しているのがすごくいい。

 

 特に今回万五郎を演じた小田部通麿氏、最初仮面の忍者赤影の不知火典馬(魔風刑部)で知ったしそれ以外でもだいたい悪役でしか見なかったので、最初燃えよ剣の伝蔵を見てこんな役もできるのかと思ったし、今回の万五郎で完全にファンになってしまった。前に彼が住職をしていた寺院を参拝してその際に結束先生のお墓参りもさせていただいたのですが、次にまた参拝させていただいたら

『天を斬るめちゃくちゃ面白かったです!!』

と、声を大にして報告したいと思う。

 

 ということで据置地獄見放題配信の1話を置いておくので、みんなでさあレッツ「不幸スパイラルピタゴラスイッチ」体験しよーぜ!!あと最終回は来週の23日10時59分まで配信しているからよろしくね!!本当にかっこいい、こんなにかっこいい時代劇早々ないんだからさ……。

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